不動産フランチャイズへの加盟、その費用と効果は?
不動産業界への参入を検討されている経営者の皆様にとって、フランチャイズは魅力的な選択肢の一つかもしれません。しかし、その加盟料やランニングコスト、そして何よりも費用対効果をしっかりと見極めることが成功の鍵となります。
1. 不動産フランチャイズの加盟料とその内訳
一般的に、不動産フランチャイズの開業資金(初期費用)は約600万円と言われています。この内訳は以下の通りです。
●加盟料:300万円
●店舗関連費:200万円(物件取得費、内装工事費、設備費など)
●保証金:100万円
●資格取得費:10万円
不動産という大きなマーケットにこの金額で参入できると聞くと、手頃だと感じる経営者の方もいらっしゃるかもしれません。しかし、これはあくまで最初の加盟料に過ぎません。参入後も、毎月のフランチャイズへのロイヤリティ、3~4人分の人件費、集客のための広告費など、月々400万円から500万円近くの販管費がかかり続けることを忘れてはいけません。
また、一般的な売買仲介を行う場合、媒介契約を取得し、そこから初めて買付客の客付けを行うため、半年間は売上がゼロの状態で走り続ける覚悟が必要です。
2. 加盟料に対する効果とは?
では、フランチャイズに加盟することで、具体的にどのような効果が見込めるのでしょうか。
まず挙げられるのは、ブランド力による集客です。一般的に認知されている店舗の看板を掲げられるため、開業したばかりの店舗でも顧客からの信頼を得やすく、スムーズな経営スタートを切ることができます。
また、営業、運営、経営をゼロから構築するには、かなりの時間と労力がかかります。しかし、フランチャイズには長年培われたあらゆるノウハウが蓄積されており、店舗オープンからすぐにビジネスを軌道に乗せることが可能です。
3. 不動産フランチャイズでの新規参入が失敗しやすい理由
ここまで、フランチャイズを通じて不動産業界に参入する際の加盟料やロイヤリティ、そしてそれらの費用に対する効果について説明してきました。初期費用だけを見ると、比較的費用を抑えて新規参入できると感じられたかもしれません。
不動産に関する専門知識がない方にとっては、既存のノウハウを手に入れられることや、ブランド力によって集客を最大化できることは大きな魅力です。しかし、その一方で、親会社からのチェーン展開という特性上、出店エリアを指定されることがあります。競合が多い地域では、限られた市場(パイ)を奪い合うことになり、収益を上げにくいといった事態も起こり得ます。
4. 「正しい」不動産業界への参入方法とは?
では、自由な場所で出店し、激しい競合との奪い合いを避けながら、さらに営業・集客を完全に仕組み化して新規参入できる方法はあるのでしょうか?
結論から言いますと、「あります」。それが、いま時流に乗っている不動産立ち上げモデル「中古住宅×リノベーション」です。
市場が縮小していくことが明確に見えている現代において、他社と明確な差別化を図れるビジネスモデルを構築し、他社がターゲットとしない客層から売上を創出することが必須となります。
築0年~20年の成約単価が高い物件は、大手不動産会社や地域一番の不動産会社がすでにシェアを占めており、新規参入ではなかなか集客できず、仲介に入り込むのは困難な状況です。
一方、築30年以上の築古物件は、仲介単価が低く、リフォームが必要なため、不動産会社は敬遠する傾向にあります。しかし、築30年以上の物件の在庫シェアは、地方都市を中心に年々増加しています。ここに、リフォームをセットで受注する不動産ビジネスが新たな活路を見出します。
通常の売買仲介の場合、お客様の予算が3,000万円であれば上限3,000万円の物件を仲介し、約96万円の手数料粗利を獲得する形となります。それに対して、中古仲介+リフォームの場合、3,000万円の予算のお客様に対して、600万円のリフォーム予算を確保し、残った予算で物件を提案する形となります。この場合、最終的な粗利は282万円となり、通常の売買仲介と比較して2倍以上の粗利が見込めます。
このモデルの客層は一次取得者となるため、リフォームの打ち合わせ回数は少なく済み、相見積もりも起こりにくいことから、非常に生産性の高いビジネスモデルと言えるでしょう。
不動産フランチャイズへの加盟は、ブランド力やノウハウといった魅力がある一方で、費用や競合といった課題も存在します。ご自身の事業計画と照らし合わせ、最適な参入方法を見極めることが重要です。
不動産業界コンサルティング
船井総合研究所
コンサルティングに関するわからないこと、
知りたいことは、
まずは私たちへご相談ください。