儲かる会社の賃貸管理会社になるためにこの6ヶ月で始めるべきこと
いつもありがとうございます。船井総研の宮下です。私は賃貸不動産ビジネスの業績アップを専門とする経営コンサルタントです。
賃貸管理ビジネスでは、管理戸数が増えるほど安定した収益も増えていきます。例えば、管理戸数1,000戸の会社なら粗利は1.2億円、3,000戸なら3.6億円といった具合です。つまり、管理物件1戸あたり粗利12万円の安定収益を目指すことになります。しかし、単に賃貸仲介や賃貸管理だけを手がけているだけでは、この目標は達成できません。
御社ではいかがでしょうか?一度、計算してみてください。
管理物件1戸あたり粗利12万円の内訳イメージ
●賃貸管理料: 2,850万円(1,000戸 × 入居率95% × 年間管理料3万円)
●更新手数料: 875万円(1,000戸 ÷ 2年 × 更新率75% × 更新料2.5万円)
●客付手数料: 2,000万円(1,000戸 × 退去率20% × 仲介成約単価10万円)
●付帯収益料: 1,000万円(仲介から400万円、管理から600万円)
●工事手数料: 2,000万円(退去、修繕、改修、提案、保険など)
●売買仲介料: 3,000万円(収益物件売買、居住用物件売却、相続での物件処分など)
●建築関連: 1,000万円(立ち退き、解体、建築紹介など)
合計: 1億2,000万円超
※管理物件1,000戸、管理料5%の場合 ※全国平均を想定し、賃料5万円程度で算出 ※「賃貸管理ビジネス」から発生する売上に限定 ※社員数10名程度の会社が多い
重要なのは、「工事」「相続売買」「建築紹介」の3つの売上です。これだけで全体の約半分を占めます。ここを獲得できるかどうかで、生産性が大きく変わってくるのです。賃貸不動産ビジネスは生産性が低いと言われることがありますが、それはこの3つの売上をしっかり獲得する仕組みができていない場合に当てはまるでしょう。
ちなみに、上記の数値は「賃貸管理ビジネス」から発生する売上なので、売買仲介や賃貸仲介も展開している不動産会社の場合、売上総額(粗利総額)はさらに大きくなります。
今回のコラムでは、賃貸不動産ビジネスにおいて、儲かる会社と儲からない会社の違いについてお話ししていきます。
今回お伝えしたいこと
1. 儲からない賃貸不動産ビジネスとは
2. 儲かる会社の賃貸管理ビジネス
3. 賃貸経営コンサルティングができる会社になるために始めるべきこと
1. 儲からない賃貸不動産ビジネスとは
儲からない賃貸不動産会社は、「客付け・賃貸管理・修繕工事・退去工事」を主な収益源としています。前述の生産性イメージで言うと、社員数10名程度、管理戸数1,000戸程度で、売上(粗利)は7,000万円から8,000万円くらい、社員一人あたりの生産性は700万円から800万円というケースが多いのではないでしょうか。御社の生産性はいかがですか?
このような売上の会社では、基本的に「受け身」の姿勢で業務にあたり、「発生した業務に対応する」ことが多いように感じます。
●退去が出たから原状回復する
●空室が出たから客付けする
●トラブルが発生したから対応する
●たまに相談があって売買仲介に入る
社員の方々は真面目で良い人が多く、社員同士の仲も良いけれど、積極的に動いて自ら提案するという方はあまり多くない、といったイメージです。
10年から20年前までなら、このやり方でも問題なかったかもしれません。退去物件は比較的早く満室になり、インターネットの情報は粗く、Googleマップのコメントが荒れることも今よりずっと少なかった時代です。管理物件の平均賃料も今より10%から20%ほど高かったため、結果的に売上もそれくらい高く、安定した売上が確保できていたと思います。
しかし、現在、このような状態の会社は儲かっていません。生産性が落ちれば給料も上げられないため、中堅社員は退職し、新たな採用も難しくなります。
「提案型」が利益を生む賃貸管理
きちんと利益を上げている会社は、一言で言えば「提案型」の仕事をしています。「工事・相続売買・建築紹介」に関する提案をしっかり行い、オーナーからも感謝されつつ、着実に売上を確保しています。
築25年を超える物件が市場の半数以上を占め、団塊世代のオーナーに相続対策が必要になってきたり、需要以上に賃貸物件が建設されて空室が増えたりしている中で、賃貸経営の「収支」「財務」を切り口に提案できる会社は、オーナーの悩みや課題を解決し、しっかり収益を上げています。
顧客の悩みや課題を解決することが「仕事」であり「商売」ですから、それを実践している会社が売上を上げるのは考えてみれば当然のことです。そして何より、この商売がしやすいのは「提案型の仕事ができる会社が少ない」からです。ニーズはあり、これからますます大きくなるにもかかわらず、競合が少ない。このような市場は、マーケティング用語で「ブルーオーシャン」と呼ばれます。私なら迷わずこの海に飛び込みますね。
成功事例に見る「賃貸経営・オーナーコンサルティング」の重要性
北海道の人口20万人エリアにあるS社様は、まさにこのブルーオーシャンに積極的に飛び込んでいる会社です。S社様は、一言で言えば「賃貸経営コンサルティング」や「オーナーコンサルティング」を強化しています。
オーナーとの雑談の中で「現状」を把握し、「課題」を掴み、このままにしておくとどうなるかを伝えた上で、オーナーの意向に沿った「提案」をしています。いわば、「町医者」のような存在です。症状が出てから対処するのではなく、症状が出る前に、人を見て、相手を見て、「賃貸不動産の健康経営」ができるようになるための提案をする。S社様は、そのような提案をされています。そして、全国各地の「業績を伸ばしている賃貸不動産会社様」も同様のことをしています。
顧客の状況を深く理解し、未来を見据えた提案を
現在、賃貸不動産ビジネスで業績の良い会社の多くは、このような取り組みをされています。オーナーの年齢、ご家族(ご両親、奥様/旦那様、お子様など)の状況や関係性、生活費や収入の状況、所有物件の躯体・設備の状況、キャッシュフローの状況などを把握し、その上で、長期間の不動産経営で必要な工事や費用をシミュレーションしながら、今後の人生における「お金」のプランをどう考えるかについて、日頃の訪問の中でヒアリングし、一緒に「計画」を作り、実践すべきことを提案されています。
どの会社も、最初からそのような仕事ができたわけではありません。オーナーの悩みに耳を傾け、時流を読み、少しずつ「賃貸経営コンサルティング」や「オーナーコンサルティング」ができるようになっていったのです。昔ながらの賃貸管理ビジネスでは、オーナーの真の課題を解決できません。そのため、報酬も低くなり、しっかりとした利益を残すことができないのです。
3. 賃貸経営コンサルティングができる会社になるために始めるべきこと
私は全国各地で、賃貸不動産会社様における「賃貸経営コンサルティング」の強化をお手伝いしています。元々、船井総研自体が経営コンサルティング会社なので、対象が会社か賃貸物件かの違いはあれど、経営コンサルティングは得意分野です。
その上で皆さんにお伝えしたいのは、賃貸経営コンサルティングを強化するならば「専任者」を置いていただきたいということです。最初は「兼任」でスタートすることがほとんどですが、それでも、その方の担当業務を「半分以下」にして着手することが不可欠です。
そうは言っても、目の前の仕事があるという方がほとんどだと思いますが、賃貸経営コンサルティングに取り組むような力のある方の時間を、
●大きく求められておらず、大して儲からない仕事に投資するのか
●これからますますニーズが大きくなり、高い報酬が得られる仕事に投資するのか
これは、経営者の方の「投資センス」が発揮されるところです。
個人的には、賃貸不動産ビジネスも「商売」ですから、儲からなくなっている仕事にこだわり続けて貴重な人材と時間を投資するのは、ナンセンスではないかと思います。
今後の賃貸不動産ビジネスの時流を読み、自社の状況を踏まえ、賃貸経営コンサルティングを強化するために「専任者」を置いたならば、取り組んでいただきたいことは以下の内容です。
賃貸経営コンサルティングでの取り組み
●オーナーの個人的情報の把握
〇オーナーの年齢、ご家族の年齢
〇ご両親、奥様/旦那様、お子様などの状況や関係性
〇生活費の状況、収入の状況
〇相続、事業承継についての考え
●所有物件の情報の把握
〇所有物件の躯体・設備の状況
〇工事、修繕の履歴
〇巡回した際の状況
●不動産経営の収支の把握
〇家賃収入
〇各種コスト
〇ローン残債
〇キャッシュフローの状況
●不動産経営計画の提案
〇長期間での不動産経営で必要な工事や、かかる費用をシミュレーションしつつ、今後の人生における「お金」のプランをどう考えるべきかを計画書にして提案
賃貸不動産ビジネスは、業務が発生しやすい業種であり、2月から3月には繁忙期があります。そのため、改革を進めることができるのは「5月から10月の6ヶ月間がコアタイム」となります。
もし今、生産性の低い状態にお悩みでしたら、ぜひこの時期に「賃貸経営コンサルティング」の立ち上げに挑戦していただけたら幸いです。
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