不動産会社の成長を加速させる組織図とは?

人手不足が深刻化し、「人手不足倒産」という言葉まで耳にするようになった現代において、不動産会社が事業を成長させるためには、既存の組織図を見直し、生産性を高めることが最善策です。また、新たな人材を採用する場合でも、経験者はもちろん、未経験者が早期に戦力化できる組織図であることが重要です。

不動産業界全体で見ても、求人数は増加傾向にある一方で、求職者の数は減少傾向が続いています。このような環境下で、賃貸管理を担う不動産会社が成長スピードを左右する上で、組織図に基づく組織戦略は非常に重要です。管理戸数を拡大し、生産性を高めている不動産会社に共通しているのは、組織戦略に合わせて組織図を常に変化させていることだと言えるでしょう。

時代とともに変化する不動産会社の組織図

賃貸管理を担う不動産会社の組織図は、時代の背景と共に変化してきました。

●1998年~2005年頃の賃貸管理急成長期には、「仲介・管理・売買」をすべての社員が兼務するような組織図も見られました。

●その後、大手フランチャイズ(FC)への加盟増加による仲介競争の過熱、管理戸数増加に伴う現場の混乱、Web集客の強化といった変化を経て、仲介部門と管理部門の分業化、Web専任者の配置などが組織図に組み込まれていきました。

●2012年頃からは売買事業の付加が組織図に反映され、2015年頃からは賃貸管理の拡大が事業戦略の中心となり、2017年頃からはオーナー営業の分業化による資産管理強化が組織図に明確に示されるようになりました。

そして、働き方改革や採用競争の激化、既存社員の給与アップが求められるようになった2020年頃からは、「高生産性体制」への移行が進んでいます。これは、単なる役割分担だけでなく、デジタルツールの導入やパート、外部委託の活用により、より幅広く分業化を進める組織図の形です。特に現代においては、管理部門内での「入居者」「工事」「PM」といった機能別の分業化や、生産性向上のための外部委託活用、収益不動産売買の分業化が、不動産会社の組織図のトレンドとなっています。

成長する不動産会社に共通する組織戦略

成長している不動産会社の組織図は、既存社員の戦力強化と新入社員の早期戦力化という2つの軸から、分業化を進めています。管理戸数を増やすためには、賃貸管理機能を分業化することが鍵となります。管理部の役割は、「お金」「入居者」「建物(工事)」「家主」の4つに分けることが、効果的な組織図を構築する上で推奨されています。

特に、管理戸数を増やすためには、オーナー営業を専任化することが重要です。不動産会社として最も伸ばしたい分野に最適な人材を配置することが、成功する組織図の要因となるでしょう。

組織の生産性を高める方向性は、分業制・専門制です。専門的に業務を特化させることで生産性が向上し、社員が特化すべき業務を明確にするためには外部委託も活用します。

適正人数と役割分担の目安となる不動産会社の組織図

賃貸管理事業を運営する不動産会社の人員配置の目安としては、基本的に管理戸数1,000戸につき3名体制が推奨されます。これは、「管理営業課」「管理サービス課」「管理経理・業務サポート」にそれぞれ1名ずつ配置する組織図のイメージです。さらに効率化が進むと、管理戸数に対して2.5名(パートを0.5名換算)で運営できる不動産会社も出てきています。

管理部内を顧客(入居者・オーナー・建物・家賃)によって分業化した場合のモデル人数として、例えば管理戸数3,000戸の不動産会社の場合、オーナー営業課3名(既存2名、新規1名)、建物メンテナンス課2名、入居者サポート課3名、家賃経理課3名の合計11名がモデルとして挙げられています(社員1名、パート0.5名換算)。

このような役割分担を行う組織図の狙いは、各部署が追うべき数値を明確にすることにあります。事業基盤となる数値(管理戸数、入居率など)や売上項目(管理料、更新料、工事売上など)を追いかけることで、不動産会社全体の成長を促進します。

さらに詳しく知るには?

このコラムでは、人手不足時代に管理戸数を伸ばすための不動産会社の組織戦略の重要性や、組織図の変遷、分業化の考え方について概説しました。

より詳細な組織図の解説や、管理戸数を増やすための具体的な「7つのルール」、そして貴社の組織図を簡易的に診断できるツールについては、以下のダウンロードレポートに全てまとめられています。

「管理戸数が伸びる 組織体制と7つのルール」レポートでは、過去の組織図の変遷と合わせて、管理戸数を拡大するために現代の不動産会社が取るべき組織体制について、さらに詳しく解説しています。レポート最終ページには簡易的な診断も用意していますので、ぜひ貴社の組織図と照らし合わせながら、どこに違いがありそうかご確認ください。

 

 

この記事を書いたコンサルタント

不動産業界コンサルティング
船井総合研究所

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