『投資』で意識するべき費用対効果
いつも当メールマガジンをご愛読いただきありがとうございます。
賃貸管理業界ではここ10年くらいで、様々なシステムが利用されるようになりましたが、そのコストが生きているかどうか?まで考える必要があります。
今回は費用対効果という点に着目して『システム投資』についてお伝えしていきます。
まず意識するべきは部門採算性
経営者の皆様であれば『部門採算性』という言葉はもちろん、その意味も深く理解している方がほとんどかと思います。
各部門の業績を可視化し、コスト意識を高め、意思決定のスピードアップを図ることを目的として実施することが多いのですが、有名なところでいうと、『アメーバ経営』もこの考え方に基づいています。
前回私が執筆したメールマガジンで賃貸管理会社の生産性について触れましたが、部門の人員1人あたりがどのくらい稼ぐと黒字化するのかを把握する必要があります。同意にはなりますが、部門の損益分岐点を把握し、コスト意識を高めることが重要です。
部門の利益が残らないと、その部門の人員に対して投資は難しくなります。もちろん大前提として売上げを最大化することが重要ですが、掛けているコストに無駄がないか?その投資が生きているかどうか?を把握し、部門の利益体質を整えていきましょう。
費用対効果の考え方
費用対効果は、投入したコスト(費用)と得られた成果(効果)の関係を評価する考え方です。具体的には「効果 ÷ 費用」で計算され、この数値が高いほど費用対効果が高いと判断されます。これは、投資や施策の意思決定、改善点の特定に役立ちます。
【例】10万円の広告費で30万円の売上があった場合、費用対効果は3.0となります(30万円 ÷ 10万円)。この数値が1より大きい場合、かけた費用以上の成果が出ていることを意味します。
費用対効果が高いとうことは、少ないコストで多くの効果や利益が得られている状態を示します。
応用的な考え方として下記のような指標もあります。
ROAS(広告費用対効果):広告費用と、そこから得られた売上を比較する指標です。
ROAS = 広告収益 ÷ 広告費用
CPA(顧客獲得単価):1件の顧客を獲得するためにかかった費用です。
CPA = 費用 ÷ 得られた顧客の数
※CPAが低いほど、費用対効果が高い施策と言えます。
LTV(顧客生涯価値):顧客が取引期間中に企業にもたらす利益の総額です。
CPAを考える際には、獲得した顧客が将来どれだけの価値をもたらすか(LTV)も考慮に入れる必要があります。
システム導入時の注意点
会社経営における投資とは、将来の利益や成長を見込んで、ヒト・モノ・カネ・時間といった経営資源を投下する活動です。
これは、新規事業への参入、設備投資、M&A、人材育成など、多岐にわたる活動を指し、企業の価値を高めることを目的とします。
今回のメインテーマは『システム投資』についてです。皆様も様々な会社からシステム導入の営業を受けているかと思いますが、システム投資を成功させるためには、いくつかの重要な注意点がありますので見ていきましょう。
1.目的の明確化と経営戦略との一致
よくあるケースですが、単に最新システムを導入すること自体が目的化してはなりません。業務効率化、コスト削減、売上向上、競争力強化など、具体的な目的を設定する必要があります。
2.現状の業務分析と業務プロセスの見直し
システム導入前に、現状の業務プロセスにおける課題やボトルネックを徹底的に分析します。また、新しいシステムに合わせて業務フロー自体を見直し、最適化することが重要です。現在の非効率な業務をそのままシステム化しても、十分な効果は得られません。
3.適切なプロジェクト管理とパートナー選定
予算、納期、品質(QCD)を遵守し、潜在的な問題を早期発見・解決するために、社内での強力なプロジェクト管理(PM)が不可欠です。併せて社内の役割と社外パートナー(開発会社)への期待値を明確にし、円滑なコミュニケーションと連携体制を構築します。
4.費用対効果の適切な評価
投資判断の際は、コスト削減や売上増といった定量的な効果だけでなく、顧客満足度の向上や意思決定の迅速化といった定性的な効果や、長期的な競争力向上も考慮して評価します。その上で、投資に見合う効果が得られるかを判断するために、費用対効果を適切に計算・評価します。
5.導入後の運用・教育・セキュリティ体制
システムは導入して終わりではありません。導入後の運用ルールを定め、従業員への十分な教育とサポート体制を整備することが、システムを定着させ効果を出す鍵となります。また、データ流出やサイバー攻撃などのITリスクは、企業の信頼性や経済損失に直結します。システムの脆弱性に対応し、最新のセキュリティ対策を徹底することが最優先事項です。
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